令和6年度
谷地南部小学校の教育目標と基本方針
1 学校の教育目標
(1)学校教育目標
「未来をひらき、しなやかに生きる力を育む教育」(継続)
縁あって、私の母校で学校経営にあたることができますことを大変嬉しく光栄に思っております。 さて、社会は超スマート社会(Society 5.0)の実現やAI・IoTの発達など、予測できないほどのスピードで変化しています。また、新型コロナウイルス感染対策が一区切りを迎えたとはいえ、いまだ記憶に新しい熱中症対策や毎年のように見舞われる豪雨による災害への対応など、今後も予測不可能な様々な課題に直面するものと思います。 そのような厳しい10年先、20年先の未来を、谷地南部っ子が心身とも折れることなく、竹のように強い節を作りながら「しなやかに」生き抜いていくために、「人生100年時代の社会人基礎力」として注目されている3つの資質能力「一歩踏み出す力(主体性)」「チーム力(協働・対話)」「考え抜く力(解決・創造)」を昨年度からの継続キーワードとし、教職員一丸となって全力で教育にあたってまいります。 そして、学校運営協議会並びに地域学校協働本部を両輪とし、保護者並びにご家族、地域の皆様方と「育てたい谷地南部っ子の姿」を共有し、成長を共に喜び合いながら教育活動を推進してまいります。 どうぞよろしくお願いいたします。 河北町立谷地南部小学校 校長 秋場 一憲 |
(2)めざす教育像
◇めざす子ども像
○深く考える子ども(知)
学ぶ意欲を持ち、粘り強く解決・創造する児童の育成
○心豊かな子ども(徳)
多様性を認め、他人を思いやり、お互いに励まし合う児童の育成
○健康な子ども(体)
心身ともに健康で、明るく元気な児童の育成
○ふるさとを愛する子ども(愛) ※新規
ふるさと(学校・学区・河北町)の良さを理解し、誇りに思う児童の育成
◇めざす学校像
○学びを楽しむ学校 ○思いやりのあふれる学校
○健康で笑顔あふれる学校 ○地域を元気にする学校 ※新規
◇めざす教職員像 ~ 教職員の笑顔が、子どもたちの笑顔と保護者・地域住民の信頼に ~
○心身共に健康で、児童と笑顔で向き合う教職員
○自身の持ち味や強みを誇り、弱さと向き合い、人間的魅力と向上心あふれる教職員
○「児童ファースト」の視点に立ち、自ら実践し、協働的に課題解決していく教職員
○保護者並びに地域住民の声に傾聴し、信頼され、共に歩む教職員
(3)今年度のキーワード(継続) -すべてを横断して培う「資質・能力」3つの力-
○一歩踏み出す力(主体性)
○チーム力(協働・対話)
○考え抜く力(解決・創造)
レジリエンス(しなやかな適応力・回復力) ⇒ ウエルビーイング(一人一人の幸福感)
自己肯定感から自己効力感・自己有用感へ
(4)基本姿勢(経営を進める上で、常に意識・重視していくこと)
①「命最優先」の視点に立ち、必要に応じて迅速かつ適切に教育課程を変更する。
②人として大切な心や態度を繰り返し指導し定着させる。(「くん・さん」、「ありがとう」等)
③「児童ファースト」の視点に立ち、教育活動のねらいや児童につけたい力を明確にしながら教育活動を進める。
また、児童の思いや願い、困り感等に傾聴し、教育活動や指導・支援に反映させる。
④「しなやかに生きる力」に繋がる「自立心」と1日・1学期・1年の「節作り」のために、下記の点に留意する。
○「わかった・できた」喜びを味わわせる授業作り(かく活動・振り返りの充実)
○友達との良好な関係作りとトラブル後の仲直り(対話の重視)
○遊びの奨励と保健・食育・体育指導の充実(健康保持と体力作り)
○自ら考え実践させ、つまずいたり困ったりしたら他者と協力し解決(自立心)
2 経営の基本方針
(1)第6次県教育振興計画 基本目標「人間力に満ちあふれ、山形の未来をひらく人づくり」(後期プラン)推進
(2)第2次町教育振興計画 基本目標「ふるさとに学び、互いに高め合いながら、いきいきと未来をひらく人づくり」推進
(3)主体的・対話的で深い学びを実現する授業の創造と個別最適な家庭学習による自己学習力の向上
(4)安心・安全な学校風土の醸成(笑顔あふれる・いじめ等未然防止・危機への対応)
(5)居心地の良い学級経営の充実(共感的受容的人間関係・自己効力感・自己有用感)
(6)「支える」生徒指導の充実(寄り添い支え励ます・善悪の判断と規範意識)
(7)「溶け合う」特別支援教育の充実(自立・多様性・共生社会・個に応じた指導支援)
(8)保健教育・食育・体育指導による健康増進と運動能力・体力向上、保護者と連携した生活リズム確立
(9)学校の歴史や文化等の魅力追究・各地区並びに町の宝理解による「谷地南部・河北町愛」の醸成
(10)保護者や地域住民と協働で創り上げる特色ある学校づくり並びに地域活性化に貢献できる学校
3 経営の重点
(1)学校研究を核とした授業改善
①各教科の見方・考え方を働かせながら深い学びの実現を目指した単元デザインと授業作りを行う。
②誰一人取り残さない個別指導・支援に努め基礎・基本的内容の確実な定着を図ると共に、
SUW個人総合・自分たちで進める授業・単元内自由進度学習を取り入れていく。
③必要に応じて教科担任制を導入し、教科の専門性に触れる喜びを味わわせるとともに学習効果を上げる。
④授業と家庭学習の接続を図ると共に、個別最適な家庭学習を導入し好ましい家庭学習習慣形成と
自己学習力向上を目指す。
(2)「支える」生徒指導の充実
①児童の思いや願い、困り感等に寄り添い励ましながら、より良く生活しようとする心と態度を支える。
②多様性を認め、互いを尊重し合い、居心地の良い学級づくりに努める。
③縦割り班活動を主とし異学年児童の交流を意図的・計画的に取り入れ、思いやりの心や素直な心、
協力し合う態度を育む。
④道徳教育と人権教育を両輪に心を耕し、いじめない・いじめをとめる心を育てていく。
⑤不登校傾向児童のサインを見逃さず早期対応に努めるとともに、保護者並びに関係機関等と連携し組織
対応を行うことにより改善を図る。
(3)「溶け合う」特別支援教育の充実
①特別支援学級在籍児童の自立と社会力育成に向け、個別学習の充実と効果的な交流学習を進めるほか
保護者との連携を密に行う。
②特別な支援を要する児童に係る情報や指導・支援の在り方を共有し、適切かつ組織的に指導・支援を行う。
③障がいの有無にかかわらず、それぞれの良さや違い、困り感等を理解し認め合い助け合いながら生活して
いくことができるよう指導・支援の充実を図る。
④特別支援教育に係る研修機会を積極的に設け、教職員の専門性を向上させるよう努める。
(4)児童の心身の健康と思考・判断・行動力を高める指導の充実
①日常的な安全指導や避難訓練等を通し、児童自らが命を守るために適切に判断し行動できるように努める。
②保健教育・食育・体育指導を充実させ、児童の健康保持に対する意識や運動能力・体力の向上を図る。
③保護者と連携し、基本的な生活習慣の確立と適切なメディアの取り扱いに係る意識を高めるよう努める。
(5)学校魅力の追究と郷土愛の醸成
①学校の歴史や文化等の魅力に触れさせ、誇りを持たせるとともに、より良い歴史や伝統、文化を作って
いこうとする態度を養う。
②園児や他校児童との交流を図ることで、かかわる喜びを味わわせるとともに、他校との比較により本校の
良さを再認識させる。
③生活科や総合的な学習の時間を核として、地域素材(ひと・もの・こと)の良さへの理解を深める。
(6)信頼され地域と共にある学校づくり
①教職員の働き方改革を進めながら働き甲斐を感得させるとともに、不祥事未然防止の徹底を図る。
②経営方針や教育活動を学校便りや学級便り、ホームページ等で積極的に発信し理解と協力を得る。
③学校運営協議会と地域学校協働本部を両輪とし、保護者並びに地域住民の声を学校経営に反映させ、児童の
成長を共に願い喜び合う関係性を構築するとともに、地域活性化に貢献できる学校経営を心がける。
④幼保子ども園・他小学校・中学校との連携に努め、園児並びに他校児童との交流のほか教職員の研修を充実
させるとともに、関係機関等とのパイプを太くし危機等に係る情報収集に努める。
令和の日本型学校教育~個別最適な学び・協働的な学び
ー谷地南部小の歴史とともにー
新進気鋭の初代 槙市郎 校長 明治36年1903年~大正14年1925年
創立時の教育理念 ⇒「自由教育」
(令和の日本型学校教育,本校の今の教育に合致)
児童には余り干渉主義は取らず,児童の個性と自主性,意志の養成
教育の任務は自然の自己発展を補助すること それは単なる受容でなく自発的なもの
⇒落書き,障子破り,器具破壊などがなくなった ※100年誌より
1921(大正10)年「八大教育主張」の中で,手塚岸衛の「自由教育論」と小原國芳の「全人教育論」の二つは令和型そのもので,初代槙校長が谷地南部小にいち早く取り入れ,当時の文部省からの派遣教諭たちと築いたことが「谷地南部小100年の歩み」に記されている。
~前略~自学室・自学文庫・理科実験室 児童が自由に出入りして学習できるようにした。児童が自分の目で物を見,調べ,確かめて学習力を身に着け,好学心を養成していく取り組みは時代の先駆けでもあった。,,,
「自学自習」「単元の進度を自分で決める学び」「自己決定の時間割」「自治活動」「研究討議会」etc
令和の時代に入り谷地南部小で行ってきている「①SUW個人総合探究・②自分たちで進める授業・③自由進度学習・自治の児童会・カリマネ・学びカフェ・主語が子供の授業」etc に大いに通ずるものがあります。
① Step Up Work 個人総合探究学習 年間15時間「総合的な学習」
自分でテーマを決めてに研究・開発・スキルアップに取り組む。 ※本町小学校で朝学習等で行っていたものを総合で。
地理・歴史・天文・科学・文学等の研究のほかにも,スポーツやプログラミング,芸術等のスキルアップも。
自分で探究し,解決するが,後半は地域学校協働活動として,プロのスケートボーダーやサーファー,クレープ屋,歴史家,プログラマー,画家,ルービックキューブの達人など この取り組みに共感し,子どもたちのニーズに応じて,多くのボランティアが協力。
② 自分たちで進める学び ひとつの単元でベースづくり1回~必要に応じて
※出張時や校内研究会で担任がいない場合も
子どもたちが教師役になり,自分で考える場面や学び合い,学習のまとめまでファシリテートして進める。
※監修として早稲田大学教育・総合科学学術院 小林宏己教授より年2~3回指導「子どもとともにつくる学級・学校」
本町は,小学校6校と中学校1校。複式学級のある谷地西部小はじめ,他の小規模3校はこうした学びが必然として当たり前に行われ,子どもたちは自立して中学校ヘ進んでいく。本校のような学校はあえて仕組んでいくことも必要。
③ 自由進度学習 各学年で年間1回~複数回
一定の期間を決めて,複数教科(場合によっては1教科)を,自分で進度を決めて時間割も自分で作成して行う学習
上記①②と違い,実践経験がなく,天童中部小の事例を参考に,一昨年度(R3)より実施。
昨年度は,2教科から,SUWと合わせて3教科で実施の学年もあり,子どもたちの学びに向かう姿や自己調整力は確実によくなった。また,低学年では自由進度学習の中で協働的な学びが必然と生まれ,算数の例年全国的にも課題となる単元で,定着がとてもよかったという結果も出ている。また、コロナ禍でオンライン学習も行ったが、療養や出席停止のため進度がバラバラになる期間には自由進度学習のベースが生きた形となった。ただ,まだ手探りなところは多く「学びカフェ」等を通して,担任団がそれぞれ工夫しながら進めている。 研究だより26号 自由進度学習の進め方の一考察.pdf
寒河江西村山地区教育長視察訪問・町教育委員訪問 助言から
良かった点➡自立に向けた授業(複数教科の自由進度・SUW個人総合・単元全体子どもと共有の授業)に各先生方のやりがいと子どもたちの意欲を授業から感じることができた。
時間割を自分で決めて自由進度で行う学びは特別支援教育の観点からも,よい取り組み。
「宿題をなくして家庭学習」には共感あり。(子どもの意欲向上と必要な学びに目をむける)
※不安のあった保護者が,子どもの姿から激励の声に☞5年生 取り組み紹介から広がり理解⇒3年おたより
課題点➡谷地西部小や中学校がめざす姿も同じ方向なのはよい。ぜひ,町全体で同じ方向を。
➡評価や定着他課題を基に自由進度学習の最終型を創ってほしい。
ただ,標準時数は確保したい。個人総合SUWは昨年度からの向上と効果に期待。
➡新しい取り組みにはじめは反対の意見はつきもの。整合するために他の取り組みも変
化していく。不安を払しょくするには子どもの姿で答えていくしかない。
⇒全体的に効果があがっても,保護者にとってはかけがえのない一人の子ども。
誰一人取り残さないという視点をどのように構築していくか。